こんぐまる、明日を繋ぐ
ぼくの名前はこんぐまる。鋼の魂を持った侍に憧れて強くなる為に旅に出た。
ぼくは今、セレド村に来ている。
ここの宿屋さんにはすてきな暖炉があって、ぼくは・・・ぼくは・・・
あったかい火を見ているとぼくは・・・。
ぼくは・・・。
ふあ〜〜〜〜・・・。
すやすや・・・。
むにゃむにゃ・・・
ぐうぐう。
すうすう・・・。
ぐるすかぴー
会心の二度寝を決めたぼくは、颯爽と宿屋さんを後にし、だーま神殿に向かった。
だーま神殿は険しい山道を越えた先にある。
寝起きの体にはなかなか険しい道のりだった。
膝がちぎれるかと思った。
たぶん半分くらいちぎれたと思う。
だーま神殿はおっきくてきれいで堂々としていた。
ソーゴンなってやつだ!
白色の壁がなんだか目に眩しかった。
あちら側のだーま神殿よりも、神聖な感じがするのは気のせいかな。
神殿に行く途中に不思議な人と出会った。
ぼくはとうとう、「れべるひゃく」という人間として超えていけない領域に達してしまったようだ。
おまけに「すきるぽいんと150」の禁断の技まで手に入れてしまった。
ぼくも最強のプクリポの仲間入りをしたかもしれない。
もう誰にも負けないぞ!
ひよこちゃんにだって!!
この間、ひよこちゃんと「とらしゅか」に行ったんだ。
とっても意地悪な子だった。
あんな意地悪な子は見たことがなかった。
刈り上げがちゃーむぽいんとみたい。
きっとお友達がいないだろうから、ぼくがお友達になってあげようと思う。
ひとりぽっちは淋しいもんね。
だーま神殿で大いなる力を手に入れたぼくは、早速、セレド村のお困りごとを解決することにした。ここの人たちはなんだか表情が暗い。
・・・え!?
消えたのは大人たちではなくて・・・。
もしかして、もしかして。
崩れ去った教会が意味するものは・・・。
ぼくがどんなに強くなろうと、どれだけ強くなろうと、変えられないことがある。
地球を逆に回すことはできない。
かみさまにはなれないんだ。
誰かの運命を変えることはできない。
いつだって、現実は残酷だ。
そんなことを思い知りたくて生きているわけじゃないのに。
そんなことを知りたくて、ぼくは旅に出たわけじゃない。
それでも、ぼくが歩いた道のその先に誰かと誰かを繋ぐことができると言うのなら、ぼくは・・・。
誰かを救うことができなくても。
運命を変えることができなくても。
居なくなってしまった人たちと、今を生きていかなければならない人たちを一瞬でも繋ぐことができたなら。
そうすることで何が変わる訳でもないだろう。
居なくなってしまった人たちは帰ってはこない。
それでも、誰かと誰かを繋いだその先で紡ぐことができる明日があるというのなら。
ぼくは弱くて、きっと何度も何度も泣いてしまうだろうけど。
ぼくはばかだから、きっと何度も何度も転んでしまうだろうけど。
それでも繋ぐことのできる明日があるって、信じて旅を続けていこうと思うんだ。
淋しいし悲しいけど、でもそれだけじゃないって思うから、わたしも信じてるよ、明日を。
こんぐまるはきっと何度も泣きべそかきながら強くなるんだろうなぁ・・・。