6月のヒーロー
宮本さんの音楽はなぜこんなにも心、揺さぶるんだろう。
歌声一つで、「明日はある」と思わせてくれるから不思議だ。
この「明日はある」という気持ちは
「いいよ、いいよ〜、もうめんどくさいことはさぁ〜、明日やればいーじゃーん」という惰性を伴ったものではなく。
照っても降っても、泣いても叫んでも、今日という日に絶望しても、
「明日はあるから、だからーーー。」
そんな希望にも似た想いから来るものなのだ。
言葉にするとちょっとばかし、恥ずかしくって青臭い、でも生きてく上で大事なものがふつふつと胸の奥から沸いてきて、自然と「明日も頑張ろう」と思える。
最近は、なんとなく心の晴れない日々を送っていた。
積極的にネガティブ(どんな日本語)の海にダイブするような、まっくらくらな気持ちではない。
けれど、どんよりとした息苦しさが日常のそこかしこに顔を出す。
これを一重に梅雨のせいにできれば良かったのに。
人を人とも思わないような残酷な事件が起きたり、目に見えない「病」に怯えたり、何か途轍もない危険がすぐそこまで迫っているような焦りや恐怖を感じたり。
ーーーこの先、どうなっちゃうんだろう。
先行きの見えない不安を抱えているのに、周りの景色だけはもの凄い勢いで様変わりしていく。目に見えないダメージは蓄積され、自分でも気付かぬ内に、殻に閉じこもりつつあったように思う。
本当はもっと、いろいろなことを「美しい」だとか「素晴らしい」だとか、些細なことでも感動する心を持っていたはずなのにーーー。
病んでる訳じないけれど、なんだかちょっと
大事な部分がすり減って、すり減った分だけ、澱のように溜まっていく暗い気持ち。
そんな気持ちを持て余していたわたしの心に深く刺さったのが、6月12日に開催されたあのライブ。
WOWOオンデマンドでの弾き語り。
無観客配信という形だったけれど、確かに深く深く刺さった。6月の憂鬱さも、先行きの見えない不安も、濁った心も、吹き飛んでしまった。
魂を燃やして、生きていかなくちゃ。
限りある日々ならば、精一杯、生きていかなくちゃ。
ギター一本、歌声一つで、こんな風に思わせてくれるだなんて。
1時間はあっという間に終わってしまったけれど、忘れられない時間になりました。
先行きの見えない暗い日々が続きます。
けれども、夜明けはそれらを乗り越えた先にあるのではなく。
悲しみや辛さに打ち勝って初めて手に入れられるような得難いものでもなく。
今まさに、生きている自分の胸の中にあるんじゃないかと、そんな風に思えた夜でした。