パーフェクト・ブルー
何年か前に「宮部みゆきだから面白いっしょー。とりあえず買っておこ」とブックオフで100円で買ったこちらの本。
「面白そうだけど、まだ『その時』が来ていないゾーン」に積まさっておりました。
ん?
積まさる・・・って合ってるよね?
あれ?方言か?
まぁ、いいや。
そんな些末なことはどうでもいいんだよおお。
2020年は積み本撲滅の年でございます。
滅せよ、自堕落な日々。
滅べよ、怠惰な自分!
本というのは不思議なもので、誰かが言った通り、集めようとして集まるものではなく、気付いたら集まっちゃうものなのです。
ええ、ええ。
際限なく増殖しております。
積み本たち、勝手に増えております。(ナニソレ、ホラーすぎ)
せっせと増やして積んでいるのは、他でもないわたくしなのでありますが。
そろそろ積むことに精を出すだけじゃなく、読んでみようかしらね。なんだか『その時』がきた気がする・・・!
というわけで、パーフェクト・ブルー、読了致しました。
これって宮部みゆきの長編デビュー作なんですね。デビュー作とは思えない程の完成度の高さ。すげえや。
わたし、宮部みゆきは割と好きで、よく読みます。ただこれを言うと、本が好きな人から「えええ?」って言われる。
なんでや!
面白いだろ!宮部みゆき!!
当たり外れは大きいかもしれないけど!!
まぁ、賛否両論分かれるよね。
こういうのは個人の好みによるところが大きいし。
わたし個人といたしましては、「宮部みゆき」=「ストーリーテラー」だと思っている。
しかも上に「稀代の」がくっつく。
初めて読んだのは「長い長い殺人」だったかなぁ?「こんなに面白い小説ってあるの!」と思った記憶があります。
今回も、やっぱり面白い。
犬が主人公っていうのも新鮮だし。
最後はちょっとご都合主義すぎるなぁーとは思ったけれど。
ご都合主義すぎたり、「そんな陰謀めいたことアルカヨ!」と思う部分はあるのだけれど、物語自体に力があるのか、なんなのか。
ぐいぐいと引っ張られ、最後まで読み切ってしまいました。
この人って、人間の感情を書き出すのがうまいんだと思う。
特に「さりげない日常に潜む誰もが持っている悪意のような、負の感情」を書くのがうまい。べらぼうにうまい。
「悪意」って、人間ならば誰しも持っているもの。
でもそれって当たり前すぎて、本人でも気づかない。
その「当たり前の悪意」で誰かが傷つき、いつの間にか自分が恨まれ、殺人事件に発展し、悲劇に巻き込まれていく・・・。
っていうね。
巻き込まれていく人の絶望感というか背筋が寒くなる感じとか。
逆に追い詰めていく人の「剥き出しの悪意」のおぞましさとか。
書き出すのがうまくて、どんどん引き込まれていくんだと思う。
この小説をもう一回読むか、って言われたらもう読まないとは思うけど、
やっぱり宮部みゆきは面白い!
と思える小説でした。